鮫川和紙の工程
和紙作りは、寒さの一番厳しい厳冬期がシーズンになります。
これは原料となる楮(こうぞ)を切り出し、和紙を漉くのに12月以降が最も適するためです。
工程は約20近くに及びますが、大きく分けると以下の5つになります。
1.原料になる楮の収穫
楮は人家に近い山地に自生するクワ科の植物で、樹皮が非常に強く和紙の原料になります。
樹高は約2~5mで、4~5月に淡黄緑色の花を咲かせ、クワの実に似た果実を実らせます。
楮
2.楮を紙料に加工
紙料になるのは楮の皮で、皮を剥いでからそれを煮ます。
これは不純物を取り除き、比較的純粋な繊維素だけを残すために行います。
次に水にさらして色をとります。
繊維素は繊維が束状になっているので、これを叩いてほぐすことで紙料となります。
楮から剥いだ皮を干す
楮の皮を煮出す
水にさらして漂白する
叩いて繊維の束をほぐす
3.楮と粘剤の調合
楮からできた紙料と、「ネリ」と言われる粘液を水の中で均一になるように調合します。
この粘液はトロロアオイという植物の根から抽出したものです。
紙料と粘液を均一に混ぜる
紙料と粘液が均一に調合された様子
ネリ(粘液)の原料となるトロロアオイ
紙漉き
「漉桁(すきけた)」といわれる道具に「簀(す)」をはさみ、調合した紙料をすくいながら揺り動かして均等に広げます。
漉桁(すきけた)
紙漉きを繰り返し重ねていく
紙張り乾燥
漉きあがった和紙は、圧搾機(あっさくき)や重石で絞り、張り板で乾燥させて完成です。
圧搾機
乾燥